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商品への想い、こだわりの食材、
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沖縄に寄り添うマガジンをお届けします。

首里城復興に想いを込めて OKINAWA

首里城復興に想いを込めて

2019年10月31日、首里城火災発生。夜中とも呼べる午前2時半、消防車や救急車のサイレンが鳴り響き、正殿から上がる火柱を多くの県民が信じられない思いで見つめました。衝撃と悲しみが広がる一方で、沖縄のみならず全国的で驚くほど早く復興を願う声が上がり始めました。首里城を想う声、援助を申し出る声、そして寄付を募る声…。あれから2年。現在の復興の様子をうかがいました。 首里城正殿前の現在の様子 「見せる復興」で進捗を共有する 首里城の火災で被害があったのは、正殿をはじめ北殿、南殿、書院・鎖之間など。火災発生後、まず瓦礫や焼失施設の撤去作業があり、その後正殿の遺構が公開、大龍柱の移設が行われ、それから仮説道路が整備されました。首里城公園管理部広報の仲榮眞盛也さんにお話をうかがったところ「首里城の復興は、その様子を多くの人に見ていただけるようにするのが当初からの計画でした」と。公園内には早くから見学用通路が設けられ、復興の進捗に合わせて通路のコース変更なども行われているそうです。 「正殿の瓦礫を撤去した後の赤瓦の漆喰はがし作業は一般からボランティアを募って、多くの人の手で行いました。僕たちとしてはできるだけ情報を発信し、今首里城がどんな状況にあるのかをできるだけリアルタイムで知っていただけるようにしています」と仲榮眞さん。 焼失の跡だけでなく、正殿がなくなってしまった今だからこそ見ることができる貴重な文化財も。世界遺産にも登録された「首里城正殿基壇(きだん)の遺構」は、正殿が現在の場所に15世紀から建設され、7回にわたり建て替えられたことを伝える非常に重要な文化財。そのほかにも、正殿の石階段や欄干、屋根に設置していた龍頭棟飾(りゅうとうむなかざり)の鉄骨や破片なども展示されています。 現在の計画では、首里城正殿が復興し再び見ることができるのは2026年の予定とのこと。その後、北殿や南殿の工事に着手し、復興基本計画期間は2031年までとなっています。 さまざまなかたちで復興支援 沖縄、全国から首里城復興の支援活動が行われていますが、樂園百貨店が取り組んだのが「首里城最中」の発売による復興支援。そのパッケージデザインとして白羽の矢を立てたのが、紅型作家の金城宏次さんでした。 「この作品は2001年に制作したもので、当時は首里城がちょうど琉球王国のグスク及び関連遺産が世界遺産に登録されたタイミングでした。沖縄県立芸術大学に在学中、僕がいつも見ていた風景をベースにデザインしたものです。目にしたものをそのままデザインするのではなく、古典柄を合わせたり、世界遺産登録でお祝いムードにあふれていた雰囲気も伝えたくて図柄を考えました」。 金城さんがそう話すように、首里城の周りには桜が咲き、鶴が舞い、鮮やかな色合いも相まってとてもにぎやかな雰囲気。この作品は「第10回りゅうぎん紅型デザインコンテスト」のデザイン賞も受賞。ありし日の首里城の姿を思わせ、多くの人の印象に残るすてきなデザインです。 首里城復興に向け、より多くの人に手に取ってもらえるようにと、首里城最中は樂園百貨店に加えて首里城公園内の売店でも販売が始まりました。ありし日の首里城正殿を象った最中は、沖縄の塩や黒糖を使ったオリジナルあんがたっぷりと詰まっており、幅広い年齢の方に楽しんでいただけるので、贈り物やお土産としても最適です。 売り上げの一部は支援金として寄付され、これからの首里城再建に役立てられます。 「首里城最中」にも描かれた堂々とした首里城正殿。再び見ることのできる日を楽しみに、着実に進む復興の様子を見守り、支援の輪が広がることを願います。 首里城最中 販売店舗:樂園百貨店(OKINAWA the RYUKYU)、首里城公園内 ショップ紅型、ショップ球陽、リウボウ那覇空港ショップ、樂園百貨店オンラインストア .img-wrapper { position: relative; } .img-wrapper:after { content:'写真提供・首里城公園'; display:block; position: absolute; bottom: 16px; left:16px; padding: 4px 8px; color:#fff; font-size:1.2rem; font-weight:700; background-color:#BE4F46; }
2021.10.29
琉球王国時代からの味と技を守り続ける 本家新垣菓子店のちんすこう OKINAWA

琉球王国時代からの味と技を守り続ける 本家新垣菓子店のちんすこう

琉球王府の庖丁人(料理人)として中国(清朝)からの客人をもてなす料理を作り、薩摩藩を訪問して和食や菓子作りを学んだ新垣筑登之親雲上淑規。本家新垣菓子店の初代である新垣淑規氏が創り出した琉球の銘菓「金楚餻(ちんすこう)」は、150年以上の時を経た今でも、昔ながらの製法を守り、一つ一つ手作りで当時の味を伝え続けています。 本家新垣菓子店がお店を構えるのは、琉球王府のお膝元だった首里の儀保駅からほど近い住宅地。現在は7代目の新垣淑武さんがその味と技を引き継いでいます。 「小さい頃から店の手伝いはしていました。ちんすこうを入れる箱を手で折って組み立てて箱詰めをしたり、バスに乗って、りうぼうさんに配達に行くこともありましたね。実際にちんすこう作りを手伝うようになったのは20歳くらいの頃だったと思います」。 そう話す淑武さんが店を継いだのは5年ほど前のこと。父である淑彦さんが体調を崩し、店を任されるようになり、淑彦さんが他界した今は母と二人で菓子作りをしています。 本家新垣菓子店のちんすこうの一番の特徴は、なんと言ってもすべて手作業で行っていること。初代が考案したレシピを守り、できるだけ当時の味を変えないように、というのが新垣家で代々伝え続けられてきたことでした。 ちんすこうの材料は小麦粉、上白糖、ラードの3つだけ。材料を混ぜてこね、生地を作り、成形したらオーブンで焼き上げたら完成。材料も作り方もいたってシンプルですが、できあがったちんすこうは、やはり本家新垣菓子店ならではの歯応えと味わい。その秘密を淑武さんにたずねてみると、少し考えてから「焼く温度は大事ですね」と。 「昔は薪や木炭を使って窯で焼いていて、自分の祖父の代までは木炭窯だったと思います。今はオーブンですが、毎日の天気や気候、温度や湿度で材料の配合は変えています。昔からずっとそうやってきたと聞いていますね。教えられたというより、そうやっているのを見てきたから当たり前のことというか。あとは、うちは基本的に手作業なので、触った感じでわかることはやっぱりありますよね」。 機械で作るのではわからない、手で感じること。歴代の職人が日々の積み重ねの中で経験として得たものを頼りに、守り伝えてきた味。文字として残されたレシピだけでは決してないものが、そこには確実にあるのです。 「焼き上がったら毎日必ず味をみます。それから食感を確かめますね。サクッとしてホロっとしていて、中が空洞になっているのが一番上等です。この空洞がしっかりあると食感が良くなるんです」。 先代から教え伝えられたものに誠実に向き合い、日々、ひたむきにちんすこうを作ること。その実直さが、琉球王国時代から続く本家新垣菓子店のちんすこうの味を今日まで伝えているのです。
2021.10.26
月のサイクルとミツバチの恵みで美しく。沖縄生まれのスキンケアシリーズ GOODS

月のサイクルとミツバチの恵みで美しく。沖縄生まれのスキンケアシリーズ

満月へ向かうときにはうるおいを与えてハリを育み、新月へ向かうときには余分なものを排出して透明感を高める。月の満ち欠けに合わせて2つのラインを使い分けることで美しさを引き出すというユニークなスキンケアを提案しているのが、FROMOの『2830』シリーズです。そのキー成分であるハチミツやミツロウは、良質なものを確保するため自社で養蜂から手がけられているのだとか。その工房におじゃまして、FROMO代表・石渡みち代さんにこだわりの製品づくりについてお話をうかがいました。 沖縄の豊かな自然や文化にインスピレーションを得て 月の満ち欠けの周期を表す「28」と、ミツバチのライフサイクルを表す「30」。月のリズムとミツバチの恵みをスキンケアに活かすという『2830』独自のコンセプトは、石渡さんが沖縄で出合った自然や文化にインスピレーションを得て生まれたものだといいます。 「海の青さや夕焼けの美しさ、そして旧暦と暮らす人々。沖縄の豊かな自然や文化に触れて、人間は自然のなかで生かされているんだということを深く実感したんです。それからは自分らしくありのまま自然とともに生きることが一番幸せだと考えるようになり、すごく楽になりました。」 それは、東京から沖縄へ移り住み、多忙で不安定な毎日のなか心身ともに疲弊していた石渡さんの人生観を大きく変えたできごとでした。そんなご自身の体験から、同じように忙しくバランスを崩しがちな同世代の女性たちを沖縄の自然素材を使った商品でそっと勇気づけられたらと、FROMOを立ち上げ商品開発をスタート。さまざまな素材を扱うなかで、タチアワユキセンダングサのハチミツに巡り合い、『2830』が誕生したのだそうです。 タチアワユキセンダングサのハチミツをスキンケアに 沖縄の生命力あふれる植物のパワーに魅せられていくなかで、沖縄のいたるところに自生するタチアワユキセンダングサが薬草としても活用されていることを知った石渡さん。その花からとれるハチミツはきっと他のものとは違うはず、そう考えて成分を分析してみると、思った通り、肌の美しさに関わるポリフェノールやビタミン、ミネラルなどが一般的なものよりも多く含まれていることがわかったそう。 「この素晴らしいハチミツをスキンケアに活かしたい、そんな思いから『2830』を企画したんですが、稀少なためなかなか仕入れが難しくて。そこで、沖縄の自然への恩返しにもなればと自分たちで養蜂をしようということになったんです。」 ハチミツがわずかにとれるようになるまでに約3年。たびたび困難にぶつかりながらも薬剤は一切使わないというこだわりを貫き、試行錯誤の末、スキンケア製品に使われているすべてのハチミツを自社で生産できるまでに。 「自然のものなので、その年によってとれる量や出来が異なります。製品づくりに必要な量のハチミツを安定的に生産するのが一番大変かな。『2830』の製品には、蜜蓋を切って絞っただけの、生のハチミツをたっぷりと贅沢に配合しています。とれたてはお花の香りが濃く、フルーティーですごくおいしいんですよ。」 月のサイクルに合わせることでバランスを整える タチアワユキセンダングサのハチミツとともにコンセプトの柱を担うのが、月の満ち欠けに沿ったスキンケアメソッド。そのヒントとなったのは、石渡さんが沖縄で出合った旧暦の文化だといいます。 「沖縄に住み始めた頃、友達をつくりたいと思って三線を習ったんです。その先生が、月の満ち欠けをもとにした旧暦のことをいろいろとお話ししてくださって。興味をもって調べていくうちに、月のサイクルと人間、特に女性の体の周期に深い関わりがあることを知りました。昔の人が自然のリズムに沿って暮らしていたように、月のサイクルに合わせてお手入れすることによって、心と体、そして肌のバランスを整えていく。そんなメソッドを誰もが実践しやすいよう商品に落とし込んでお届けできたらと、2つのラインからなるスキンケアを設計しました。」 満月へ向かう再生期にはSラインを使い、新月へ向かう浄化期にはJラインを使う。それだけで自然と月のサイクルに合わせたお手入れができるよう、それぞれに応じたスキンケア成分を厳選。例えば化粧水なら、Sラインにはハリを与える沖縄の島人参エキスが、Jラインには収斂効果を持つパッションフルーツエキスが配合され、それぞれ月のサイクルに合ったスキンケア効果をもたらしてくれるのだそうです。 香りを味方に、スキンケアを通して自分らしくいられる時間を 実際に商品を手にとってみると、心に響くような香りに思わずうっとり、たちまち幸福感に包まれます。 「商品開発において、香りはすごく大事にしたポイント。精油の最高峰といわれるローズとネロリをそれぞれキーになる香りとし、2つのラインの働きに合わせ、こだわり抜いてブレンドしました。」 Sラインは、女性の肌と心を満たすローズにゼラニウムやフランキンセンスをブレンドし、しなやかな美しさを育む香りに。Jラインは、心を解きほぐして癒すネロリに鎮静作用を持つサンダルウッドをブレンドして、不要なものを手放す手助けとなる香りに。それらの効果をダイレクトに活かすため、『2830』では、最初にオイルを数滴指先にとって鼻先に近づけ、香りが頭全体に広がっていくようなイメージで3回深呼吸してからお手入れを始めることをおすすめしているそう。 「自分で作った商品ですが、私自身も仕事で落ち込んだときにこの香りに助けられたことがあって。香りが心身に働きかける力って本当にすごいですよね。」 香りの力を味方にスキンケアを通して自分自身をいたわり、自分らしくありのままでいられる時間を大切にしてほしい。そのきっかけとして『2830』を手にとってもらえたら、そんな石渡さんの思いが、「more than dance(ダンスよりも楽しい生活を)」というメッセージとともに、商品ひとつひとつに大切に込められています。
2021.10.07
バタフライピーの美しいブルーに魅せられて FOOD

バタフライピーの美しいブルーに魅せられて

美しく濃いブルーの花が目を引く「バタフライピー」は、タイやインドなどの東南アジアで古くから親しまれているマメ科の植物です。花の形が蝶に似ていることから、「バタフライピー」、和名では「蝶豆」と呼ばれています。あざやかな青い花から作られるハーブティーは神秘的な美しい色が印象的。レモンなどを混ぜるとパッと色を変え、その華やかさからSNSでも話題になりました。また、バタフライピーにはアンチエイジング、美白などの効果が期待できる「アントシアニン」がたくさん含まれていることも、大いに注目を集めている理由。沖縄県内でも栽培を手掛ける農家が増え、バタフライピーを使った新しい商品が誕生しています。 シンプルに楽しむならバタフライピーティーで 初めてバタフライピーを味わうなら、花から作られたバタフライピーティーがおすすめです。青く澄んだお茶は目にも涼やか。雑味や渋みがなく、すっきりしていて誰にとっても飲みやすい味。バタフライピーに含まれるアントシアニンは、眼精疲労や美白などの健康増進効果があるといわれています。 沖縄県八重瀬町にある農業生産法人有限会社「白川ファーム」では在来種の八重咲きのバタルフライピーを無農薬で栽培。さらに収穫した花でハーブティーを製造しています。お茶に使うのは花びらだけ。ていねいに洗浄、乾燥させて作られるのは、なんと1gで1ℓのバタフライピーティーが作れるティーバッグ。バタフライピーだけを使ったティーのほか、バタフライピーと自家製ミントのブレンドティーや、ハイビスカス・レモングラスも加わったブレンドティーなど、ラインナップも豊富。お茶としてはもちろん、少量のお湯で濃いめに淹れて、炭酸水やお酒、牛乳で割ってもおいしくいただけます。 魔法のような色の変化がおもしろい 澄んだ青いティーをたっぷり楽しんだら、レモンやライムなど柑橘系の果汁を加えてみましょう。バタフライピーに含まれたアントシアニンがクエン酸に反応して、青から紫、赤へと一瞬でその色を変えていきます。見る人を驚かせるあざやかな色の変化はまるで魔法のよう。果汁の量で色がさまざまに変わる様子が楽しく、何度でも試したくなります。その色の変化の美しさはInstagramなどのSNS映えがするとして若い女性を中心にたくさんの投稿が見られます。バタフライピーを飲むのなら、ぜひ試してみてください。 沖縄県産100%使用のバタフライピーシロップ バタフライピーのお茶のほか、簡単にさまざまなドリンクが作れるシロップも。農業生産法人株式会社「仲善」のバタフライピーシロップ「オキナワ ブルーハワイ シロップ」は混ぜるだけでいろんな楽しみ方ができます。「ブルーハワイ」の名の通り、シロップはきれいなブルーが特徴。南城市で無農薬栽培されたバタフライピーを使用し、無添加・無着色の天然のシロップです。パッションフルーツパウダーを使ったトロピカルな味わいと程よい甘み、そしてほのかに感じる爽やかさは、子どもから大人まで誰もが楽しめる味です。 シロップを炭酸水で3倍に割って飲むのが基本的な飲み方ですが、そのままヨーグルトやかき氷にかけるだけでも、もちろんOK。レモン果汁をプラスすれば紫や赤のグラデーションも楽しめる一品に。また、泡盛やウォッカと合せれば天然色のブルーカクテルのできあがり。アルコール分は含まれていませんが、リキュールのブルーキュラソーのような使い方を試すのも面白そうです。 見た目に楽しく、体にもやさしいバタフライピー。ぜひ一度味わってみてください。
2021.09.14
胃袋を刺激する!沖縄のスパイスカレー FOOD

胃袋を刺激する!沖縄のスパイスカレー

夏本番の暑さが続き、なんだか食欲も落ち気味…。そんなときには、スパイスのきいたカレーがもってこい。香辛料の香りが食欲を刺激し、一口食べれば心地よい辛さにもう一口。おいしくて、からだにも嬉しいスパイスカレーをお店で、そしておうちでも楽しみませんか? 隠し味は黒糖。コクと味の深みがたまらない「あじとや」 玉ねぎ、無添加のココナッツ、チキンのスープ、そしてオーガニックスパイス。「あじとや」のオーガニックスパイスカレーの材料はとてもシンプル。スプーンを口に運べばスパイスがふわりと香り、刺激的な辛さの中にまろやかな玉ねぎの甘みが感じられてとびきりおいしい。 「あじとや」は北海道出身の山崎憲次さんが10年ほど前に沖縄でオープンし、出身地である札幌のスープカレーをベースに沖縄の黒糖を隠し味に使い、「沖縄の黒糖カレー」としても知られる人気のお店です。そんなあじとやのメニューに最近、新たに加わったのがオーガニックスパイスカレー。 「これには、あじとやのスープカレーで使っていたブイヨンは使っていないんです。チキンのスープと、あとは玉ねぎの水分だけ。あっさりしていて食べやすいと思います」と山崎さん。コクがあるのにしつこくない理由の一つは小麦粉を使っていないこともあるかもしれません。 もともとお店のカレーの味を最初に決める時にはスパイスの研究を相当したという山崎さん。一時は熱心に調べすぎて、“スパイス迷子”になるほどだったそう。「スパイスはそもそも種類がとても多いんですね。好みもあるでしょうし、たくさんの種類を入れても、一つ一つのスパイスのパーセンテージがあまりに少なかったらそのスパイスは生きない。それにもっと難しいのは産地によって味も香りも全く違ってしまうということ。もし僕がいまレシピをすべて公開して誰かがその通りに作ったとしても、スパイスの産地が違ったら全然違う味になるんです。そのくらい、スパイスの産地は重要なんです。その点で言うと、ワイン選びに似ているかもしれませんね」。 選んでは迷って、山崎さんが最終的に決めたスパイスは6種類ほど。多くは使わず、これぞというスパイスを厳選し、それぞれの味や香りが最大限に生きるような調理にたどり着いたといいます。そこではもちろん、最初から使うことを決めていた黒糖との相性もふまえていたとのこと。「やっぱり沖縄でお店をやるなら、味のベースとなる部分に沖縄を代表する食材を使いたかったんですね。黒糖は誰でも知っているでしょう。『沖縄といえば黒糖カレーだよね』って多くの人に言ってもらえるように、あじとやのカレーを根付かせたいですね」。 山崎さんが以前より力を入れていたのが、レトルトカレーの開発。お店でできたてを食べてもらうことはもちろん嬉しいけれど、みんないつでも来られるわけではないし、もっと手軽に食べられる方法があってもいいんじゃないかと考えていたことから始めたとのこと。最初に作ったのは、琉球大学が開発したウコンを使った「琉球大学カレー」でした。ワイルドでパンチのきいたウコンを上手くカレーに取り入れ、気になるネーミングも相まって話題となりました。 そして最近、完成したのがあじとやオリジナルのキーマカレーをレトルトにした「沖縄黒糖咖哩」。種類は、ピンクのキーマチキン、グリーンのキーマクリームチキンの2つ。鶏ひき肉がメインのカレーはシンプルにそのまま食べても、ごはんと混ぜて軽く炒めてドライカレーのようにして食べるのもおいしいと、山崎さんが教えてくれました。 「来年の4月でお店を始めて10年になります。カレーの味にしてもサービスにしても、やっぱり大事だと思うのは“愛情”かなと。一食作るのも、百食作るのも同じように愛情を込めるようにしたいし、味が良くてもサービスで不愉快な思いをさせてしまったらおいしさも半減してしまう。すべては愛情があればこそできることだと思うので、これからもこの部分は大事にしていきたいですね」。 隠れ家レストラン「KOBA」。父の味を受け継いだビストロのカレー 「親父が30年くらい前にKOBA’sという店を那覇の久茂地でやっていたんですね。その後に宜野湾に移転して僕が引き継いだんですが、今店で出しているカレーはそのレシピをベースにしています。初めは完全にレシピを引き継いで作っていましたが、その後自分なりに少しずつ変えて今はオリジナルになりました。小さい頃から親父のカレーをつまみ食いしていましたが、とにかく辛い。まだ子どもだから2〜3口しか食べられないんだけど、でももう一口どうしても食べたくなるんです。中毒性があるって言ったらおかしいけど、一度食べたら絶対もう一度食べたいって思うカレーなんですよね」。 小さい頃から父の手伝いをし、2014年9月にお店を引き継いだというKOBAの小橋川望さん。小学生の時は皿洗い、高校生くらいになるとデザートを作り始め、一緒に働くうちに見様見真似で料理を覚えたといいます。 小橋川さんのお父さんが営んでいたのは、30年前はまだ珍しかったリーズナブルな値段で食べられるフランス料理のお店。ゆでたてパスタをはじめ、気軽にお店のランチに来てもらうために始めたカレーが徐々に人気になり、いつの間にかカレーの常連客が通う店としても有名になっていったそうです。 「最初、親父はカレーをそんなに作りたいわけじゃなかったらしいんですね(笑)。でもカレーが人気になりカレーファンが増えたので作り続けていたみたいです。カレーのレシピを考えた時、フランス料理屋だったので親父は欧風カレーにしようと思ってトマトを大量に使うことにしたらしいんですね。この点は僕のレシピでも引き継いでいます。それから、ローズマリーやバジル、タイム、ローリエなどのハーブも入れていて。この発想って洋食屋にとっては必須のブーケガルニなんですよね。煮込み料理によく使われるものなので、カレーに使ってももちろんおいしい。親父の中ではソースを作る感覚に近かったのかもしれません」。 それまで父のもとで働いていたのを自分の店として任された翌年、小橋川さんはグルメ情報誌が主催する「那覇カレーグランプリ」に父とコラボ出店というかたちで挑戦。初出場で準優勝という結果を収めたのをはずみに、次の年は来場者の傾向分析と対策をしっかりと行い見事グランプリに輝きました。そこから徐々にお客さんが増え始め、またカレーファンが多く訪れるようになったとのこと。初めはすべて目分量だった父のレシピをすべて計量して文字におこし忠実に作っていたところから、小橋川さんは自分なりのアレンジを加え、オリジナルへと進化させて勝ち取ったグランプリでした。 この時、小橋川さんが考えたのがスパイスを別添えにするというもの。カレーは子どもから大人までみんなから愛されている料理。だからこそ、辛さを調整できる工夫があったらいいのではと思ったことから始めたアイデアは、多くの人から支持されるものとなりました。 カレーにスパイスを別添えにするというアイデアは、その後小橋川さんが店の人気メニューである「アグー豚入りキーマカレー」をレトルト商品化する時に大いに役立つことに。カレーはレトルトにする時にスパイスの香りが逃げやすくなってしまうというデメリットがありますが、それをスパイスを別添えにすることで、香りも保てるうえに辛さの調整もできるとあってお客さんからずいぶん喜ばれたと言います。 小橋川さんが自身のインスタグラムでアップしたところ、とても話題になったことの一つに、レトルトカレーを使った「混ぜ麺」があると教えてくれました。 「茹でたての中華麺にレトルトカレーをかけて、青ネギ、かつおぶしとイワシの粉末、茹で卵を載せたら一気に混ぜて食べるんです。これがめちゃくちゃおいしい。みんなからすごい反響がありました」。和洋中の意外な組み合わせと感じますが、これがうまくマッチして絶品とのこと。レトルトカレーのアレンジはまだまだ奥が深そうです。 小橋川さんはこれから新たな挑戦としてヴィーガン対応のメニューも考えているとのこと。「おいしい」を目指してこれまで料理をしてきたけれど、どんな食の嗜好であっても、誰もが一緒にたのしい食事の時間を過ごせるために、いろんな人を喜ばせるメニューを作りたいと話します。次はどんな料理でたのしませてくれるのか、期待が高まります。
2021.08.18
離島のいいもの缶詰、できました GOODS

離島のいいもの缶詰、できました

琉球イノシシのタコライス、あぐー豚と石垣島ハーブのランチョンミート、アカマチのアヒージョ…。沖縄の離島でとれたユニークな食材を使った缶詰ができました。琉球イノシシの肉はどんな味?あぐー豚と石垣島のハーブをランチョンミートに?!沖縄の三大高級魚のアカマチはどんな魚?ワクワクする食材を使った缶詰のおいしさに、一口食べたらきっとやみつきに! 「離島のいいもの缶詰」とは? 2021年7月16日発売の「離島のいいもの缶詰」は、沖縄の離島の観光PR事業や離島の食材を使った特産品開発を手がける(株)たしざんがプロデュース。担当の棚橋智恵さんが3人の作り手さんとともに1年をかけて完成させました。 「数年前に離島の特産品開発として『特産離島便』という瓶詰めを完成させて販売していたのですが、沖縄の恵まれた食材資源を余すことなく使い、常温かつ長期保存のできるパッケージ形態にも取り組みたいと考えて、今回新たにできあがったのが「離島のいいもの缶詰」です。開けてすぐに食べられて、調理をすれば簡単に一品料理にもなるので手軽に楽しんでもらえると思います」と棚橋さん。 できあがったのは、西表島の琉球イノシシを使った「猪(いの)タコライス」、沖縄の在来豚がベースとなっている「あぐー」に味噌と石垣島のハーブを使って仕上げた「あぐー豚のランチョンミート」、そしてお祝いの魚であるアカマチを贅沢に使用した「アカマチのアヒージョ」の3種類。個性豊かな食材をしっかり味わえる缶詰になりました。 濃厚な味わいに満足!猪(いの)タコライス イノシシ猟が盛んな西表島で、自身も猟に出るという農家民宿マナのご主人、石原和義さんが商品化したのは、琉球イノシシの肉を使った「猪(いの)タコライス」。捌く際に省かれてしまうことの多い脚などの部位の肉もミンチにしてタコライスソースにしています。 石原さんが民宿で出す料理は、島の食材をふんだんに使い、化学調味料は一切使いません。真心がこもっていて、安心で、なによりもおいしい石原さんの料理を食べに、民宿に通う旅行者も多いそう。そんな石原さんが作る猪タコライスは、クセのない味わいの肉にスパイスを上手にきかせ、野生の猪ならではの引き締まって弾力のある歯応えをいかしていて食べ応え十分です。 隠し味は伝統ある味噌。あぐー豚のランチョンミート 沖縄の県民食の一つとも言えるランチョンミートを、沖縄の在来豚がベースになっている「あぐー」の肉を贅沢に使ってできあがったのが「あぐー豚のランチョンミート」です。商品化に携わったのは、那覇で飲食店「味噌めしや まるたま」を営む中西武久さん。 アイデアマンの中西さんは、普段からいろんな料理を思いつくと言いますが、あぐー豚のランチョンミートもふとした時のひらめきからできあがったとのこと。石垣島のハーブが香り、しっかりとした味のランチョンミートは、隠し味に創業170年を誇る那覇の「玉那覇味噌醤油」の味噌を使っています。焼いてポーク玉子などにするのはもちろん、焼いたものをそのままお酒のおつまみにしてもおいしくておすすめです。 魚の旨味がたっぷり。アカマチのアヒージョ 沖縄では「アカジン」と呼ばれる高級魚、アカマチをおしゃれなアヒージョに仕立てたのは伊良部島で水産加工業を営む浜口水産の濵口美由紀さんです。旅行で伊良部島を訪れ、その時に食べたかつおのおいしさに感動して移住を決めた濵口さんは、伊良部島で獲れる魚のおいしさを何よりもよく知る人。淡白で旨味の多いアカマチ本来の味がいかせる缶詰をと考え、アヒージョにしたといいます。 ほどよい脂がのったアカマチはそれだけで十分なおいしさ。アカマチのアヒージョに使っているのはとてもシンプルな素材のみ。アカマチにオリーブオイル、塩、ニンニク、唐辛子。そこにアンチョビソースを少しだけ加えています。プリッとした身は噛むほどに旨味が広がり、アカマチのおいしさがしっかり味わえます。ワインと一緒にぜひどうぞ。 フタを開けるだけですぐに沖縄の離島のおいしさが味わえる「離島のいいもの缶詰」。その手軽さからは想像できない、本格的な味わいが楽しめます。
2021.07.16