琉球王朝の美と味を楽しむ「料亭四つ竹」
2022.12.01
OKINAWA雅やかな宮廷料理と郷土料理を味わいながら、琉球舞踊を楽しむことができる「料亭 四つ竹」。落ち着いた空間で琉球芸能を堪能し、手間ひまかけた食事を味わうのはなんとも贅沢な時間。ここには、五感で楽しむ琉球があります。
本土復帰を機に訪れる観光客に、沖縄ならではのおもてなしを
沖縄の日本本土復帰記念事業である沖縄国際海洋博覧会が開催された1975(昭和50)年、四つ竹は国際通りで琉球舞踊と料理が楽しめる店としてオープンしました。
「沖縄が日本本土に返還されたお祝いムードが漂う中、観光客が押し寄せる様を見て、沖縄の食文化や芸能に触れることのできる場を作りたいと、父は友人とお店を始めたと聞いています。店は国際通りでオープンしてから3回ほど移転し、現在の那覇市久米にオープンしたのは1989(平成元)年です」。
そう話すのは、代表取締役社長の奥村幸定さん。2010(平成22)年に店を引き継ぎ、移りゆく沖縄観光のニーズを見極めながら、店を切り盛りしてきたといいます。
「いらっしゃるお客様はだいぶ変わったと思います。私が継いだ当時は団体旅行が多かったのですが、徐々に個人旅行へと移行し、現在は日本のお客様はほぼ個人客ですね。また、コロナ前はインバウンドが劇的に増えたこともあり、メニューや舞踊の解説に外国語を取り入れるなど、対応をしてきました。その中で、時代のニーズに応じて変えるべきものは変え、変えるべきでないものは守るという姿勢は大事にしてきました」。
何百年と受け継がれてきた琉球の味を伝えていく
宮廷料理をもとにした四つ竹の料理は、琉球王国時代から続く医食同源(食べるものと薬になるものの源は同じという考え)の教えをもとに、かつては貴族しか口にすることができなかった豆腐ようやミヌダルなどのほか、その後庶民の間にも広まり、家庭料理として食卓にのぼるようになったクーブイリチーやもずく酢、ソーメンチャンプルーなど、バラエティに富んでいます。その中で、四つ竹を代表すると言えるほど評判なのが、「ラフテー」と「てびち」。
「沖縄は『だし文化』ともいえるほど、料理においてはだしが重要なんです。四つ竹では昔からだしには徹底してこだわり、その味を楽しんでもらうために味付けは極力シンプルで薄味にしています。だしと、素材そのものの味を楽しんでもらいたいんですね」と奥村さん。
また、だしがしっかりと素材に染みるよう、ラフテーもてびちも丁寧に下処理を行い、徹底した油抜きをしているとのこと。何度も茹でこぼしをすることで、お肉にすっと箸が入るくらいにやわらかくなり、だしも入りやすくなるといいます。
沖縄の食文化をより多くの人に知ってもらいたい
四つ竹の看板商品ともいえるラフテーとてびちは、お客様から「持ち帰り用の商品が欲しい」「贈答用として贈りたいんだけど」などの声が多かったことから2021年4月から冷凍商品として販売を開始。お歳暮やお中元、お祝い等でお客様から重宝されているとのこと。
「構想から商品化が実現するまでに1年半ほどかかりました。お持ち帰りいただいて、どんな状況でも同じ味が楽しんでいただけるよう試行錯誤しましたね。味はもちろんですが、四つ竹のラフテーは角の美しさも重要なんです。煮崩れしないよう丁寧に煮込むので、器に盛り付けた時の美しさも楽しんでいただけます。また、てびちは一般的なものとはちょっと異なり、塩だれにしています。煮崩れしにくく味が染みやすい『チマグー』と呼ばれる部位を使い、こちらも油と臭み抜きを徹底的にしているので食べやすい仕上がりになっていると思います」。そう話す奥村社長。
電子レンジや湯煎で加熱するだけで、自宅でお店と遜色ない味が楽しめるとあって評判は上々。手軽にお店の味を再現できるという点こそが、奥村社長がこだわった点でもあったそうです。
「四つ竹は、琉球料理と舞踊を楽しんでいただくお店ですが、それと同時に沖縄の食文化を広めていくことも大切な使命の一つだと思っています。店に足を運ばなくても、琉球料理を楽しんでいただく機会が作れたことは、新たな一歩にできたのかなと思っています」。