首里城復興に想いを込めて
2021.10.29
OKINAWA2019年10月31日、首里城火災発生。夜中とも呼べる午前2時半、消防車や救急車のサイレンが鳴り響き、正殿から上がる火柱を多くの県民が信じられない思いで見つめました。衝撃と悲しみが広がる一方で、沖縄のみならず全国的で驚くほど早く復興を願う声が上がり始めました。首里城を想う声、援助を申し出る声、そして寄付を募る声…。あれから2年。現在の復興の様子をうかがいました。
「見せる復興」で進捗を共有する
首里城の火災で被害があったのは、正殿をはじめ北殿、南殿、書院・鎖之間など。火災発生後、まず瓦礫や焼失施設の撤去作業があり、その後正殿の遺構が公開、大龍柱の移設が行われ、それから仮説道路が整備されました。首里城公園管理部広報の仲榮眞盛也さんにお話をうかがったところ「首里城の復興は、その様子を多くの人に見ていただけるようにするのが当初からの計画でした」と。公園内には早くから見学用通路が設けられ、復興の進捗に合わせて通路のコース変更なども行われているそうです。
「正殿の瓦礫を撤去した後の赤瓦の漆喰はがし作業は一般からボランティアを募って、多くの人の手で行いました。僕たちとしてはできるだけ情報を発信し、今首里城がどんな状況にあるのかをできるだけリアルタイムで知っていただけるようにしています」と仲榮眞さん。
焼失の跡だけでなく、正殿がなくなってしまった今だからこそ見ることができる貴重な文化財も。世界遺産にも登録された「首里城正殿基壇(きだん)の遺構」は、正殿が現在の場所に15世紀から建設され、7回にわたり建て替えられたことを伝える非常に重要な文化財。そのほかにも、正殿の石階段や欄干、屋根に設置していた龍頭棟飾(りゅうとうむなかざり)の鉄骨や破片なども展示されています。
現在の計画では、首里城正殿が復興し再び見ることができるのは2026年の予定とのこと。その後、北殿や南殿の工事に着手し、復興基本計画期間は2031年までとなっています。
さまざまなかたちで復興支援
沖縄、全国から首里城復興の支援活動が行われていますが、樂園百貨店が取り組んだのが「首里城最中」の発売による復興支援。そのパッケージデザインとして白羽の矢を立てたのが、紅型作家の金城宏次さんでした。
「この作品は2001年に制作したもので、当時は首里城がちょうど琉球王国のグスク及び関連遺産が世界遺産に登録されたタイミングでした。沖縄県立芸術大学に在学中、僕がいつも見ていた風景をベースにデザインしたものです。目にしたものをそのままデザインするのではなく、古典柄を合わせたり、世界遺産登録でお祝いムードにあふれていた雰囲気も伝えたくて図柄を考えました」。
金城さんがそう話すように、首里城の周りには桜が咲き、鶴が舞い、鮮やかな色合いも相まってとてもにぎやかな雰囲気。この作品は「第10回りゅうぎん紅型デザインコンテスト」のデザイン賞も受賞。ありし日の首里城の姿を思わせ、多くの人の印象に残るすてきなデザインです。
首里城復興に向け、より多くの人に手に取ってもらえるようにと、首里城最中は樂園百貨店に加えて首里城公園内の売店でも販売が始まりました。ありし日の首里城正殿を象った最中は、沖縄の塩や黒糖を使ったオリジナルあんがたっぷりと詰まっており、幅広い年齢の方に楽しんでいただけるので、贈り物やお土産としても最適です。
売り上げの一部は支援金として寄付され、これからの首里城再建に役立てられます。
「首里城最中」にも描かれた堂々とした首里城正殿。再び見ることのできる日を楽しみに、着実に進む復興の様子を見守り、支援の輪が広がることを願います。
樂園百貨店(OKINAWA the RYUKYU)、首里城公園内 ショップ紅型、ショップ球陽、リウボウ那覇空港ショップ、樂園百貨店オンラインストア