胃袋を刺激する!沖縄のスパイスカレー

2021.08.18

FOOD

夏本番の暑さが続き、なんだか食欲も落ち気味…。そんなときには、スパイスのきいたカレーがもってこい。香辛料の香りが食欲を刺激し、一口食べれば心地よい辛さにもう一口。おいしくて、からだにも嬉しいスパイスカレーをお店で、そしておうちでも楽しみませんか?

隠し味は黒糖。コクと味の深みがたまらない「あじとや」

玉ねぎ、無添加のココナッツ、チキンのスープ、そしてオーガニックスパイス。「あじとや」のオーガニックスパイスカレーの材料はとてもシンプル。スプーンを口に運べばスパイスがふわりと香り、刺激的な辛さの中にまろやかな玉ねぎの甘みが感じられてとびきりおいしい。

「あじとや」は北海道出身の山崎憲次さんが10年ほど前に沖縄でオープンし、出身地である札幌のスープカレーをベースに沖縄の黒糖を隠し味に使い、「沖縄の黒糖カレー」としても知られる人気のお店です。そんなあじとやのメニューに最近、新たに加わったのがオーガニックスパイスカレー。

「これには、あじとやのスープカレーで使っていたブイヨンは使っていないんです。チキンのスープと、あとは玉ねぎの水分だけ。あっさりしていて食べやすいと思います」と山崎さん。コクがあるのにしつこくない理由の一つは小麦粉を使っていないこともあるかもしれません。

もともとお店のカレーの味を最初に決める時にはスパイスの研究を相当したという山崎さん。一時は熱心に調べすぎて、“スパイス迷子”になるほどだったそう。
「スパイスはそもそも種類がとても多いんですね。好みもあるでしょうし、たくさんの種類を入れても、一つ一つのスパイスのパーセンテージがあまりに少なかったらそのスパイスは生きない。それにもっと難しいのは産地によって味も香りも全く違ってしまうということ。もし僕がいまレシピをすべて公開して誰かがその通りに作ったとしても、スパイスの産地が違ったら全然違う味になるんです。そのくらい、スパイスの産地は重要なんです。その点で言うと、ワイン選びに似ているかもしれませんね」。

選んでは迷って、山崎さんが最終的に決めたスパイスは6種類ほど。多くは使わず、これぞというスパイスを厳選し、それぞれの味や香りが最大限に生きるような調理にたどり着いたといいます。そこではもちろん、最初から使うことを決めていた黒糖との相性もふまえていたとのこと。
「やっぱり沖縄でお店をやるなら、味のベースとなる部分に沖縄を代表する食材を使いたかったんですね。黒糖は誰でも知っているでしょう。『沖縄といえば黒糖カレーだよね』って多くの人に言ってもらえるように、あじとやのカレーを根付かせたいですね」。

山崎さんが以前より力を入れていたのが、レトルトカレーの開発。お店でできたてを食べてもらうことはもちろん嬉しいけれど、みんないつでも来られるわけではないし、もっと手軽に食べられる方法があってもいいんじゃないかと考えていたことから始めたとのこと。最初に作ったのは、琉球大学が開発したウコンを使った「琉球大学カレー」でした。ワイルドでパンチのきいたウコンを上手くカレーに取り入れ、気になるネーミングも相まって話題となりました。

そして最近、完成したのがあじとやオリジナルのキーマカレーをレトルトにした「沖縄黒糖咖哩」。種類は、ピンクのキーマチキン、グリーンのキーマクリームチキンの2つ。鶏ひき肉がメインのカレーはシンプルにそのまま食べても、ごはんと混ぜて軽く炒めてドライカレーのようにして食べるのもおいしいと、山崎さんが教えてくれました。

「来年の4月でお店を始めて10年になります。カレーの味にしてもサービスにしても、やっぱり大事だと思うのは“愛情”かなと。一食作るのも、百食作るのも同じように愛情を込めるようにしたいし、味が良くてもサービスで不愉快な思いをさせてしまったらおいしさも半減してしまう。すべては愛情があればこそできることだと思うので、これからもこの部分は大事にしていきたいですね」。

隠れ家レストラン「KOBA」。父の味を受け継いだビストロのカレー

「親父が30年くらい前にKOBA’sという店を那覇の久茂地でやっていたんですね。その後に宜野湾に移転して僕が引き継いだんですが、今店で出しているカレーはそのレシピをベースにしています。初めは完全にレシピを引き継いで作っていましたが、その後自分なりに少しずつ変えて今はオリジナルになりました。小さい頃から親父のカレーをつまみ食いしていましたが、とにかく辛い。まだ子どもだから2〜3口しか食べられないんだけど、でももう一口どうしても食べたくなるんです。中毒性があるって言ったらおかしいけど、一度食べたら絶対もう一度食べたいって思うカレーなんですよね」。

小さい頃から父の手伝いをし、2014年9月にお店を引き継いだというKOBAの小橋川望さん。小学生の時は皿洗い、高校生くらいになるとデザートを作り始め、一緒に働くうちに見様見真似で料理を覚えたといいます。

小橋川さんのお父さんが営んでいたのは、30年前はまだ珍しかったリーズナブルな値段で食べられるフランス料理のお店。ゆでたてパスタをはじめ、気軽にお店のランチに来てもらうために始めたカレーが徐々に人気になり、いつの間にかカレーの常連客が通う店としても有名になっていったそうです。

「最初、親父はカレーをそんなに作りたいわけじゃなかったらしいんですね(笑)。でもカレーが人気になりカレーファンが増えたので作り続けていたみたいです。カレーのレシピを考えた時、フランス料理屋だったので親父は欧風カレーにしようと思ってトマトを大量に使うことにしたらしいんですね。この点は僕のレシピでも引き継いでいます。それから、ローズマリーやバジル、タイム、ローリエなどのハーブも入れていて。この発想って洋食屋にとっては必須のブーケガルニなんですよね。煮込み料理によく使われるものなので、カレーに使ってももちろんおいしい。親父の中ではソースを作る感覚に近かったのかもしれません」。

それまで父のもとで働いていたのを自分の店として任された翌年、小橋川さんはグルメ情報誌が主催する「那覇カレーグランプリ」に父とコラボ出店というかたちで挑戦。初出場で準優勝という結果を収めたのをはずみに、次の年は来場者の傾向分析と対策をしっかりと行い見事グランプリに輝きました。そこから徐々にお客さんが増え始め、またカレーファンが多く訪れるようになったとのこと。初めはすべて目分量だった父のレシピをすべて計量して文字におこし忠実に作っていたところから、小橋川さんは自分なりのアレンジを加え、オリジナルへと進化させて勝ち取ったグランプリでした。

この時、小橋川さんが考えたのがスパイスを別添えにするというもの。カレーは子どもから大人までみんなから愛されている料理。だからこそ、辛さを調整できる工夫があったらいいのではと思ったことから始めたアイデアは、多くの人から支持されるものとなりました。

カレーにスパイスを別添えにするというアイデアは、その後小橋川さんが店の人気メニューである「アグー豚入りキーマカレー」をレトルト商品化する時に大いに役立つことに。カレーはレトルトにする時にスパイスの香りが逃げやすくなってしまうというデメリットがありますが、それをスパイスを別添えにすることで、香りも保てるうえに辛さの調整もできるとあってお客さんからずいぶん喜ばれたと言います。

小橋川さんが自身のインスタグラムでアップしたところ、とても話題になったことの一つに、レトルトカレーを使った「混ぜ麺」があると教えてくれました。

「茹でたての中華麺にレトルトカレーをかけて、青ネギ、かつおぶしとイワシの粉末、茹で卵を載せたら一気に混ぜて食べるんです。これがめちゃくちゃおいしい。みんなからすごい反響がありました」。和洋中の意外な組み合わせと感じますが、これがうまくマッチして絶品とのこと。レトルトカレーのアレンジはまだまだ奥が深そうです。

小橋川さんはこれから新たな挑戦としてヴィーガン対応のメニューも考えているとのこと。「おいしい」を目指してこれまで料理をしてきたけれど、どんな食の嗜好であっても、誰もが一緒にたのしい食事の時間を過ごせるために、いろんな人を喜ばせるメニューを作りたいと話します。次はどんな料理でたのしませてくれるのか、期待が高まります。

樂園百貨店

所在地 :〒900-8503
沖縄県那覇市久茂地1-1-1 デパートリウボウ2階
モノレール県庁前駅 連絡通路より徒歩1分
営業時間:10:00~21:00 (1月1日定休日)
TEL   :098-867-1171(代表番号)