【よみもの】変化し続ける「ここにしかない」リゾートデパート | 樂園百貨店

変化し続ける「ここにしかない」リゾートデパート

2017.09.12

PEOPLE

1948年(昭和23年)に設立された琉球貿易商事株式会社からスタートし、約70年の歴史をもつデパートリウボウ(以下リウボウ)。それが樂園百貨店として新たな姿に変わろうとしています

樂園百貨店とは?これからどのようにリウボウは変わっていくのか? 株式会社リウボウホールディングスの糸数剛一会長に、そのビジョンをお伺いしました。

【キーワードは3つの「ハイ」】

ー樂園百貨店のコンセプトを教えて頂けますか?

樂園百貨店は「デパートハイ」「リゾートハイ」「トラベルハイ」という、3つの「ハイ」をコンセプトにしています。ハイはハイテンションのハイですね。

まずは「デパートハイ」ですが、百貨店に来るとなんだか気持ちが華やかになる、ワクワクするという感覚。これは、以前から現在に至るまで百貨店が持っているものです。

続いての「リゾートハイ」「トラベルハイ」ですが、沖縄の強みは何かというと、やはり国内ではすごく人気のある観光地であること、つまり沢山の観光客が来るんですね。また海外、特にアジアから見ると沖縄は「一番近い日本の旅行地」として認識されているんです。つまり、国内外から沖縄に来るお客様をどう取り込むかを考えなければいけません。今、リウボウは全国にある百貨店とほとんど一緒なんですね。さらに言えば県外にはもっと大きくて品揃えの豊富な百貨店が沢山あるわけです。ですので、他にはない独自性をもたなければ生き残っていけないと。

そこで、どんな独自性を持つべきかと考えると、沖縄全体のマーケットとしての強みは言わずもがなですが、リゾートなんです。沖縄に観光でいらっしゃった方がリウボウを訪れたときに、開放されたような、癒やしを感じられるような空間づくりを行い、旅行の非日常をリウボウでも味わえるようにする。それが「リゾートハイ」「トラベルハイ」です。

つまり、百貨店が持つキラキラした感じである「デパートハイ」に磨きをかけ、さらには観光でいらした方が五感を刺激されて癒やされるリゾート感のある独自の世界観を展開し、ここにしかない百貨店を作ること。それが「樂園百貨店=リゾートデパートメントストア」のコンセプトです。

ー具体的にはどのようなことを行っていくのでしょうか?

現在は、プロジェクトの途中なので最終決定ではないのですが、例えばリウボウの前にある“パレットくもじのイベント広場”。あそこは観光客を含めて沖縄で一番歩行者が通る場所なんです。だから一番目立つ場所なんですが、現在は屋根がついていないので雨天の場合を考慮して大きなイベントができません。ですので、行政との話し合いの中で屋根をつける方向で進めています。

他には、リウボウの屋上には意外と緑が多いのですが、あまり知られていません。これは外部の方から言われたのですが、そんな百貨店は他にはありませんよ、と。ですので、そこをもっと強化して癒やしの象徴としてリニューアルすることも検討しています。

それらには当然、時間もお金もかかります。しかし、想定外の驚きや感動がないと独自性にはならないだろうと。数年かけて徐々に変化させていき、お客様にもどんどん変わっていく姿を楽しんでもらおうと思っています。

もうひとつは、店作りをしていく上で「沖縄のいいモノ」「日本のいいモノ」「世界のいいモノ」そして「からだにいいモノ」という4つの軸で商品を揃え、世界観を作っていこうと思っています。

現在はどの業界も非常に厳しい戦いをしていて、最終的には大手が価格競争などで勝っているわけです。でも大手には、店舗のボリュームが大きいからこそ、一定以上の商品量がないと取引がなかなかできないという弱点もある。リウボウくらいの規模は、全国で見ればとても小さいんですね。だからこそ、それなりの商品量でも対応ができる。すごくよいものを作っている、ただし規模が大きくないので沢山つくれないという所を軸にしながら交渉を進めています。

有名なものも、もちろん取り揃えますが、基軸としてはあまり見たことがない、でもすごくよいものをリウボウでは目にすることができるようにしていきます。

【沖縄を中心とした交易の場に】

ー樂園百貨店は、今後どんな場所になっていくのでしょうか?

百貨店は、文化の発信の場所でなければいけないと考えています。これは今後も絶対変えるつもりはなく、育てていきたいと思っています。 先にも言ったとおり、沖縄には国内外から多くの観光客が訪れます。近年インバウンドが増えていますが、その人々が日本の地方に行くというのは、まだまだ限られていると思います。沖縄に地方のいいものを置くことで、それを購入した外国の方に、その地方を知ってもらうことができます。国内からすれば、沖縄を使って商品をアジアに売り込めるわけです。

また、若手クリエイターなどの商品も取り扱うことで、これから彼らが国内外に出て行く時にリウボウがその最初のステップになる、そういう魅力的な場所にしないといけないと思っています。

逆もまた真なりで、国外からすれば沖縄が日本に商品を売り込みする場所になればと思っています。樂園百貨店や日本の地方が外国に、逆に外国からは日本に展開する出発点として機能する。沖縄という場所であれば、そういったことができるのではないかと思っています。

【樂園百貨店の挑戦】

ー樂園百貨店を訪れる方へ、どのようなメッセージを伝えたいですか?

リウボウはこれから樂園百貨店として独自性をもち、買物をするしないに関わらず訪れたら楽しい、刺激のある場所にリニューアルしていきます。どんどん変わっていきますので、ぜひ足を運んでみて下さい。

観光で沖縄にいらした皆様も、樂園百貨店の雰囲気をぜひ体感して頂きたいですね。私たちが真剣に考え、選び抜いた「いいモノ」、ここだけでしか手に入らないような独自の商品を揃えていきますので、ぜひ旅の途中でお立ち寄り頂ければと思います。

糸数 剛一

1959年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、沖縄銀行入行。その後、自身で事業を興し、1988年に沖縄ファミリーマート入社、98年に取締役営業部長に就任する。
その後、開発部長兼総合企画室長、常務取締役就任、専務取締役を経て2007年から2009年にかけてファミリーマートに出向し、米ファミリーマート社の社長兼CEOに就任。その後、2010年5月に株式会社沖縄ファミリーマートの代表取締役社長。2013年5月には株式会社リウボウホールディングス代表取締役社長、2016年5月には同社代表取締役会長に就任。