RESORT DEPARTMENT STORE

2020.08.17

PEOPLE

クッチャネのやちむんで、暮らしの中のひとときが楽しみになるように

バナナやリンゴ、レモンなどが大胆に描かれたお皿はまるで絵画のよう。“かわいくて、あたらしいやちむん”と評されることの多いクッチャネの作品は、大らかでのびのびとしていて、見ているだけで楽しい気持ちにさせてくれます。その作風や、ユニークで朗らかなネーミングなど、クッチャネについてのお話を制作チーフの戸村勇気さんにうかがいました。

しっかり食べてしっかり眠る。がんばるのはそれから

―クッチャネという名前はとてもかわいいですね。

クッチャネというのは、そのまんまですが食べて寝ることです。生きていく基本はまずきちんと食べることと、しっかり眠ることだよね。頑張るのはそれからがいいよねっていう考えからこの名前にしました。クーからクッチャネへと名前は変わりましたが、根っこにある考えは変わっていなくて、自分たちが作るものは、生活のメインではないけれど、あったら嬉しいと思えるものでありたい、という想いを込めています。

枠にとらわれず、自分たちのやり方で

―クッチャネには何人かの作家さんがいるのですか?

この工房は実は会社組織の中のひとつの部門なんです。正式に言うと、株式会社スタジオクッチャネのアトリエクッチャネ陶器事業部になります。会社組織の中にある工房って珍しいですよね。今工房には5人のスタッフがいて、そのうち僕を含めて3人の作家がいます。僕は制作チーフという肩書がありますが、ほかのメンバーとの関係は一般的な工房のような親方と弟子というものではなくて、仲間としてチームを組んでクッチャネというブランドをつくっているという感じです。クッチャネは会社組織ですが、一人一人がそれぞれの名前で作品を作ることも問題ないので、みんな自分の作家活動もやっています。

―作家さんのチームであるクッチャネの「らしさ」はどうやって考えていますか?

手に取ってくれる人たちを楽しませることができるもの、という考えがベースにあります。使っている時に絵柄が見えて楽しいというのはもちろんですが、食器棚に置いてあっても飾ってあるような楽しさがあるようにというのは考えますね。それと、作る僕たち自身も作るのが楽しいと思えるもの。それがクッチャネかな、と思います。

僕もそうですが、今この工房には県外出身者が多いんですね。沖縄にルーツがあるわけではありませんが、沖縄県立芸術大学で陶芸を学び、卒業後も沖縄県内を拠点に活動しているんです。そういった僕らがあえて伝統的なやちむんを作るのは違うと思うし、そうであれば新しいことを取り入れたものを作る方向に行きたいな、と。例えば素材は釉薬や土などは沖縄産でなくても、クッチャネらしさを表現できるのなら県外のものを使う選択をすることがあります。

でも、沖縄らしさがないものを作ろうとしているわけではなくて、クッチャネの特徴である絵付けの点においては沖縄のものがなくては成り立たないんですね。モチーフにするのは沖縄のものがとても多いですから。

焼き物をきっかけに暮らしに潤いが生むことができたら

―クッチャネの商品バリエーションはどのくらいありますか?

およそ80種類くらいです。クッチャネの商品は、例えば同じリンゴの柄だったとしても絵付けをした作家によって雰囲気がほんの少し違うんです。同じものを描いても作家の個性がどこかに必ず出るんですね。僕らとしてはそれが面白いと思っていて、買ってくださる方には「一つひとつじっくり見てみてください!」って伝えたいです。微妙な違いを楽しんで、お気に入りを見つけてもらえたら嬉しいですね。

―新作もかなり頻繁に出しますか?

新作というか、期間限定や季節限定のものはよく作ります。それが思いの外ヒットして定番化することもありますね。

うちの工房は窯を焚く頻度が高いので、新しい商品が作りやすいと思います。多い時にはひと月に10回焚くこともあります。電気窯でサイズ的にはかなりコンパクトですが、小回りが利いて良いというか。焼き物はやっぱり火を入れてみないと分からない部分が大きいので、テスト用に作って焼き上がりを見ることが手軽にできるのがいいですね。

―最近はインスタグラムでクッチャネのうつわの使い方の提案も始められていますね。

そうですね。インスタグラムを始めたのは、作るだけではなくて、使う人たちとの交流をもっと増やしたいと思ったのがきっかけでした。クッチャネのうつわを見て、これまでやちむんはもちろん、陶器自体にまったく興味のなかった人が「初めて手作りの陶器を買います」と言ってくれたことがあったんです。僕たちが作るものは手に取りやすい雰囲気があると思うんですね。なので、陶芸の世界に触れたことがない人に対して、その入口になれたら嬉しいなと思います。

クッチャネは「あると暮らしが潤うもの」というやちむんを提案していきたいんですね。例えば買ってきたお惣菜だとしても、お気に入りのうつわに盛り付け直すとちょっと楽しいと思える。お気に入りのカップが一つあるだけで、それでおいしい紅茶を飲むことをささやかな楽しみにできる。今までの暮らしの中にはなかったほんの少しの楽しさを、クッチャネが届けられたら嬉しいですね。

ページトップへ