【よみもの】旧暦3月3日に行われる沖縄のひなまつり | 樂園百貨店

旧暦3月3日に行われる沖縄のひなまつり

2018.04.20

OKINAWA

3月3日のひなまつり。本土ではすでに終わってしまいましたが、旧暦文化が深く根付いている沖縄では、旧暦3月3日にひなまつりにあたる行事、浜下り(ハマオリ)が行われます。

女性たちが海水に手足を浸し、身を清める伝統行事

3月3日のひなまつりといえば、きれいなひな人形を飾り、ひし餅やひなあられ、甘酒を振る舞うなどして、女の子の健やかな成長を祈願する日本の年中行事です。しかし、今なお旧暦文化が生活に根付いている沖縄では、新暦で行われる本土式のひなまつりと並行して、旧暦3月3日(※1)に『浜下り(ハマウリ/ハマオリ)』が各地域で行われています。

浜下りとは元々、女性たちが浜に下りて海水に手足を浸し、大潮の干潮時に現れる白砂を踏んで身を清め、厄災を払うという意味合いのものでした。女性たちは朝から三月御重(サングヮチウジュウ)という華やかな重箱料理やよもぎ餅(フーチムチ)をこしらえ、家族や親戚とのんびり浜辺で一日を過ごしたといいます。

近年では祭祀的な要素は薄れ、お弁当を持ってピクニックをしたり、また浜辺で潮干狩りをしたりとレジャー的な要素で浜下りを楽しむ人が多くなりました。三月御重は今ではほとんど見かけなくなりましたが、この時期スーパーマーケットに行くと、よもぎ餅の他、三月菓子(サングヮチグヮーシー)と呼ばれるサーターアンダギーによく似た伝統菓子類が今でも売られており、その素朴な味わいがかつての浜下りの名残を今に伝えています。

また、この時期の沖縄は“うりずん”と呼ばれ天候の良い日が多く、気温も上がり始めるタイミングなので、潮干狩りや浜遊びをするにはぴったり。アワビの一種であるトコブシや、サザエ、シャコ貝など、海のごちそうが浜下りの日の夜の食卓にずらりと並ぶという家庭もあるようです。

※1:2018年は新暦4月18日

巨大な”タマン”の神輿が海を渡る、平安座島のサングヮチャー

浜下りの風習は地域によっても様々ですが、とてもユニークなもののひとつが、うるま市にある海中道路を渡ってすぐの離島、平安座島(へんざじま)で行われている『サングヮチャー』という伝統行事です。旧暦3月3日から3日間にわたって行われますが、なかでも2日目に行われる『ナンザモーイ(ナンザ拝み)』は、巨大なタマン(フエフキダイ科の魚)の神輿を担いだ群衆が海を渡るというここでしか見られないものです。

集落を司る神女が、奉納魚をモリで突き刺し豊漁を祈願する『トゥダヌイユ―』という神事が奉納されるや、どこからともなく巨大なタマンの神輿が登場。若者たちが神輿を担ぎ、地方衆による歌と三線の先導で浜辺へと向かって歩いて行きます。旧暦3月3日前後は1年のうちでも海の干満の差が大きい時期。その時期の干潮の数時間のみ歩いて渡ることができる、沖合400mほどの距離にある岩礁・ナンザ岩へと、膝から腰まで海水に浸かりながら群衆が海を渡ります。
ナンザ岩に到着した神輿はそのまま岩の頂上まで上り、海の彼方にあるとされる豊穣の地『ニライカナイ』に向かって、大漁・豊漁を祈願します。

普段は静かな島の集落もサングヮチャーが行われる3日間はとても賑やか。ハレの日を祝う、福々しい雰囲気が島全体を包みます。伝統行事ですが、参加したい場合は、島の人々が温かく迎え入れてくれます。機会があれば是非、濡れても大丈夫な服装で平安座島のサングヮチャーを訪れてみてはいかがでしょうか。

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